トランジスタでLチカする回路の設計手順
npn型トランジスタのコレクタに赤色LEDを繋いでLチカさせるときの回路を設計します。
回路は下図のようなものです。
これから順番にそれぞれの値を決めていきます。
トランジスタは2SC1815Y(リンク先は秋月電子です)を使用する想定で設計します(データシートはこちら)。 この記事中に載せているすべてのグラフは、このデータシートからの引用です。
電源電圧
電源電圧としては、あまり大きすぎない、適当な値を設定してください。 私はでやりました。*1
LEDの端子間電圧と電流
まずは回路の上側(コレクタ電流が流れるところ)から先に決めていきます。
今回の回路では、LEDを流れる電流はコレクタ電流となります。
赤色LEDを使用する場合は、端子間電圧を程度、LEDを流れる電流を程度として計算すればいいと思います。*2
コレクタ・エミッタ間電圧
すでにコレクタ電流は決めたので、このグラフをもとにコレクタ・エミッタ間電圧を決めます。
コレクタ電流は]としました。 そこで、のときのをグラフから読み取ると……ベース電流がいくつであっても、コレクタ・エミッタ間電圧はほとんどであることがわかります。*3*4
ということで、以下では]とします。
コレクタ抵抗
続いて、トランジスタのコレクタに繋いでいる抵抗(以下、コレクタ抵抗)の値を決めます。 電源電圧、コレクタ抵抗の端子間電圧、LEDの端子間電圧、コレクタ・エミッタ間電圧の間には次式の関係が成り立ちます。
なので、
となります。
オームの法則()を使えば、
となり、コレクタ抵抗の値を求められます。 今回はなので、計算すると]となります。
ベース電流
続いて、真ん中の回路を流れるベース電流を決めます。
上図は直流電流増幅率とコレクタ電流の関係を表したグラフです。
トランジスタを使うのは一般的な部屋の中なのでとして、のときの値を見ると、となっています。 ここから、
となり、必要なベース電流が求まります。
ベース・エミッタ間電圧
ベース電流を決めた次はベース・エミッタ間電圧を決めます。*5
上図はベース電流とベース・エミッタ間電圧の関係を表したグラフです。 ベース電流を決めたときと同じく、とします。 今回はなので、グラフをから]程度と決まります。
ベース抵抗
最後に、ベース抵抗の値を決めます。 ベース・エミッタ間電圧が、電源電圧がなので、ベース抵抗の端子間電圧は
となります。
ベース電流が]であることとオームの法則から、ベース抵抗の値は
となります。
さいごに
これまでに決めた値を書き込んだ回路図を載せます。