nitomath’s blog

分からなかったことのメモ

NAND回路の原理

先日の記事でNAND回路のシンプルな例を示しました。 今日はその回路が本当にNAND回路になるのかを確かめていきます。

説明には下図を用います。 上述の記事ではトランジスタの回路例とスイッチの回路例を載せましたが、今回はスイッチの回路例だけを用います。 なお、この記事では出力電圧が正ならHigh、ゼロ以下ならLowであるとします。

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NAND回路](

A=Low,B=Lowのとき

2つの入力がともにLow(つまり、スイッチがともにOFF)のとき、NANDの出力はHighになります。 このことを確認します。

スイッチがともにOFFのとき、電流は下図の赤矢印のように流れます。

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入力がともにLowの場合、出力はHighになる

スイッチ S_1(入力A)がOFFであるため、左下の回路には電流は流れません。 このとき、点αの電圧は 2 \mathrm{V}になります。 つまり、出力電圧は V_o=2であり 0 \mathrm{V}ではありません。 したがって、出力はHighになります。

A=High, B=Lowのとき

入力AがHighで入力BがLow(つまり、スイッチ S_1だけがONで S_2だけがOFF)のとき、NANDの出力はHighになります。

このとき、電流は「A=Low、B=Lowのとき」の説明で示した図のように流れます。 スイッチ S_2(入力B)がOFFであるため、左下の回路には電流が流れないためです。 このとき、点αの電圧は先ほどと同様に 2 \mathrm{V}になります。 そして、出力も同様にHighになります。

A=Low, B=Highのとき

この場合は、先程の「A=High, B=Lowのとき」と同じです。 違うのはOFFになっているスイッチの場所だけです。 左下の回路には電流が流れないため、点αの電圧が 2 \mathrm{V}であることと、出力がHighであることは変わりません。

A=High, B=Highのとき

2つの入力がともにHigh(つまり、スイッチがともにON)のとき、NANDの出力はLowになります。

このときの電流の流れは下図のようになります。 今回は、上記の3つの場合と異なり、電流が左下の回路に流れています。

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入力がともにHighの場合、出力はLowになる

点αはスイッチ S_1 S_2を介してグラウンドと繋がっています。 そのため、点αの電圧は 0 \mathrm{V}となります。 電圧が 0 \mathrm{V}なので、抵抗が存在する右側の回路に電流は流れません。 抵抗に電流が流れるには電圧降下が必要ですが、今回の場合は抵抗の下側がグラウンド、つまり 0\mathrm{V}に接続しているため、同じく 0 \mathrm{V}の点αからでは電圧降下を起こせません。

結局、この場合は出力電圧が V_o=0となるので、出力はLowとなります。