nitomath’s blog

分からなかったことのメモ

コンデンサが放電するとき(過渡状態)の電荷・電流・電圧の変化を表す式を導出する

以前、コンデンサが充電するときの過渡状態の式を導出しました。

nitomath.hatenablog.jp

今回は、充電されて電荷 Q蓄えたコンデンサが放電するときの式を導出します。

初期状態

回路は最初、下図のような状態であるとします。 回路は

から構成されています。 コンデンサに蓄えられた電荷は、図で見て上側が正、下側が負です。 このとき、図には書いていませんがコンデンサの端子間電圧 V_C Q_0/Cです。

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初期状態

電荷の式を求める

上図ではスイッチがOFFなので電流は流れていませんが、下図のようにスイッチをONにするとコンデンサに蓄えられた電荷が移動して電流が流れます。 このとき、時刻 tにおけるコンデンサに蓄えられている電荷 Q、電流を Iとすれば、

となります。 なお、ここでは、下図のように電流の正の向き、コンデンサと抵抗の端子間電圧の正の向きを決めます。

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スイッチを閉じると電流が流れ始める。

電圧のキルヒホッフの法則より、コンデンサの端子間電圧と抵抗の端子間電圧について以下の式が成り立ちます。

\displaystyle{
\dfrac{Q}{C}=RI
}

今は電荷の式を求めたいので、電流 I電荷 Qで表します。

コンデンサが放電するとき、電流が上図で定めた正の方向に流れることは直感的に明らかです。 しかし、

\displaystyle{
I = \dfrac{dQ}{dt}
}

の式を用いて電流 I電荷 Qで表してしまうと、 dQ/dt\lt0なので電流が負の方向(図の矢印とは逆の方向)に流れてしまいます。 なので、今回は左辺に負号をつけた

\displaystyle{
I = -\dfrac{dQ}{dt}
}

を用いることで、 I Qで表します。

すると、キルヒホッフの式から

\displaystyle{
\dfrac{Q}{C}=-R\dfrac{dQ}{dt}
}

という電荷 Q微分方程式が得られます。 初期条件(時刻 0コンデンサに蓄えられていた電荷 Q_0であったこと)を考慮してこの解を求めると、

\displaystyle{
Q=Q_0\exp\left(-\dfrac{t}{RC}\right)
}

となります。

電流の式

電流 Iの変化は、

\displaystyle{
I = -\dfrac{dQ}{dt}
}

\displaystyle{
Q=Q_0\exp\left(-\dfrac{t}{RC}\right)
}

より、

\displaystyle{
I=\dfrac{Q_0}{RC}\exp\left(-\dfrac{t}{RC}\right)
}

となります。

電圧の式

抵抗の端子間電圧 V_Rの変化はオームの法則より、

\displaystyle{
I=\dfrac{Q_0}{C}\exp\left(-\dfrac{t}{RC}\right)
}

となります。

キルヒホッフの法則を考慮すれば、コンデンサの端子間電圧 V_C V_Rと同じ式で表されることがわかります。